ウルトラマンA感動の最終回(第52話)、「明日のエースは君だ!」の あらすじと感想です。
地球上で謎の円盤同士の空中戦が発生し、撃墜されます。
撃墜された現場に到着したTACと北斗星司(エース)は、地球の昭和の短パンの子どもたちにいじめられているサイモン星人を発見します。
サイモン星人は宇宙の遊牧民族で攻撃性のない平和な宇宙人で、しかもその星人もまだ子どもでした。
それなのに地球の子どもたちはゾフィーやウルトラセブンのお面をかぶってサイモン星人の子どもを痛ぶります。
“目に見えないM87光線”をブッ放す子どもや、ボール紙で作ったような“アイスラッガー”を投げつける子どもたち。
さらにはジャンピングキックをぶちかましたりしてやってることは完全に「弱いものいじめ」です。
北斗は「やめろ」と激昂してその「いじめ行為」をやめさせます。
子どもたちは「宇宙人は死刑でいい」と過激思想を口にして、それでいて自分たちは“ウルトラ兄弟”だとほざきます。
「ウルトラ兄弟ごっこ」が行き過ぎた形というべきでしょうか?
北斗は「宇宙人だからって皆殺していいというのか?ウルトラ兄弟は弱い者いじめなんかしない。弱い者の味方だ」と「ウルトラ兄弟」の立場から子どもたちに諭します。
意外と素直な昭和の子どもたちはすんなり反省して、心を入れ替えてサイモン星人となかよしになります。
しかし、ここでかつてウルトラマンエースにブチ殺された超獣たちのバラバラになって浮遊していた分子を結集させた最強超獣かつ「超獣の王」とも呼べる「ジャンボ・キング」が登場します。
マザリュース・ユニタング・カウラ・マザロン人の最も強い部位だけを合体させて作った、後の『ウルトラマンタロウ』に登場する「合体怪獣タイラント」の原案のような超獣です。
さすがに最強だけあってTACがどんだけタックアローで攻撃してもビクともせず、昭和のオールデイズな街並みは半分くらい破壊しつくされてしまいました。
ジャンボキングはサイモン星人を追って地球までやって来たとほざき、サイモン星人を渡さなければ地球人を皆殺しにするというまるで『ウルトラセブン』の最終回みたいな展開になってきました。
ウルトラセブン最終回「史上最大の侵略」ではなすすべもなくニューヨークやロンドンやモスクワなどが地底ミサイルで破壊され億単位の犠牲者を出す大惨事になったのに、
そこはさらっと流され日本さえ無事だったんだからそれで良いみたいな風潮すら感じさせて終わりましたが、
『ウルトラマンエース』ではそんな悲劇を繰り返すわけにゃいきまへん。
ジャンボキングは「明日また来るよ」みたいなことを言ってひとまず撤退。
北斗星司はその夜、「明日こそはエースになろう」と妙に形式ばった決意を誓いながら夜空を見上げます。
すると夜空のムコウから月に帰った南夕子が現れ「星司さん、あなたは自分がエースだと知られたらもう二度と人間の姿には戻れないのよ」と唐突に告げられます。
当然星司も「んなことはわかってる。なんで急にそんなこと言うんだ?」と問い返しますが、なぜかそれを無視して夕子はまた月に帰って行っちまいました。
当然「伏線」です。
翌日ジャンボキングは再び現れ火を噴いて家を踏みつぶしビルを殴り倒し大暴れ。
まさに「倒せ、火を吐く大怪獣」状態であり、とっととエースに返信してブッ殺さなければならない状況です。
サイモン星人の子どもは地球の子どもたちの「秘密基地」にかくまわれていました。
この「子どもの秘密基地」に行くという流れもウルトラセブンの最終回と被ってますね(笑)
しかし、サイモン星人の頭部にあるランプが妙な信号を発しているように点滅しているのを北斗は感じます。
結構冒頭からこの「伏線」は張られていました。
しかも、その信号に呼応してジャンボキングが暴れているような描写のようです。
どうやら・・・サイモン星人はピグモンのような友好的怪獣ではなく敵の一味のようです。
ジャンボキングが迫って来て「秘密基地」のある洞窟が崩れ始めました。
これは戦時中の防空壕か何かを基地にしたもんなのかな?
とにかく北斗は子供たちを逃がして、自らもサイモンを引き連れて基地から脱出します。
するとここでサイモン星人がテレパシーで北斗に「この声に聞き覚えがないか?」と問いかけます。
なんとサイモン星人はヤプールの残党が変身していた姿だったんです。
狙いは「子供たちから優しい心を奪ってウルトラマンエースを抹殺する」というあまり関連性のない目的だった様子。
これは『(初代)ウルトラマン』33話の「禁じられた言葉」みたいに子どもたちを試している狙いもあったのか?
ただ、一晩中基地で子供たちと一緒にいたのに全く危害を加えなかったのもずいぶんヤプールにしては温厚なような...。
北斗はタックガンをかまえて「サイモン星人もどき(ホントはヤプール)」を射殺しようとします。
そこに子供たちがやってきてサイモンを撃たないでと静止。
ヤプールもテレパシーで「撃てないだろ?撃てばお前は信用失っちゃうぜ?どうなんだい?」的に挑発。
しかし北斗は意を決してヤプールを射殺しちまいました。
当然子どもたちは大激怒。
「自分で弱い者を守れと言ったのに!」と憤慨し「もう優しい心なんて捨ててやる」みたいなことまでほざき始めます。
北斗は「奴はヤプールだったから殺したんだ」と子供たちに告げます。
子どもらは「なんでそんなことがわかるんだ?」と北斗がまるでホラを吹いているかのよう。
するとここで北斗はついに「それは、オレがウルトラマンエースだからだ」とついに正体を明かします。
前夜、夕子が示唆していたのはこのことだったわけです。
夕子は未来が予見できるんでしょうね。
月星人ですから何でもありです。
そして、北斗は「みんな見ていてくれ、これがエースの最期の闘いだ」と言ってその場からダッシュ。
そして崖から飛び降りながら両手でウルトラリングをカチッと合わせてエースに変身します。
かけつけたTACの隊員も北斗がエースだったことを知りますがいまいちリアクションが薄い(笑)
もうちょっと驚くとこじゃないのかなそこは(笑)
「最強超獣」という設定のジャンボキングと対峙するエース。
実際、最強はヒッポリト星人かエースキラーでしょうがこのどちらなのかはファンの間で意見が割れてますね。
それはともかく、最終回なんですから設定的にも「最強の敵」感がなければダメなんです。
しかし・・・昭和ウルトラシリーズあるあるで「最終回の敵に限って弱い」というパターンがほとんどです。
『(初代)ウルトラマン』のゼットンだけが文字通り「圧倒的最強の敵」でしたが、
それ以降は・・・
- 『ウルトラセブン』のパンドン
- 『帰ってきたウルトラマン』の二代目ゼットンとバット星人
- 『ウルトラマンタロウ』のサメクジラとバルキー星人
- 『ウルトラマンレオ』のブラックエンドとブラック指令
- 『ウルトラマン80』のマーゴドン
・・・どいつもこいつも最強どころか「最弱(?)」疑惑まで浮上するほど弱い連中でした。
特に酷かったのは以下の連中です
- パンドンはもう衰弱してヨレヨレ状態のセブンに負ける。
- バルキー星人は人間体の東光太郎にすら負ける。
- ブラック指令は子供たちに球を奪われただけでドロドロに溶けてしまう。
- マーゴドンはUGMごときに倒される
- さらに言えばマーゴドン登場回は「あっ!キリンも象も氷になった!!」という全く“最終回感”もロマンもないサブタイトル。
意外と昭和ウルトラシリーズの最終回登場怪獣は“ショボい”んです。
そしてこのジャンボキング。
設定的には三本の指が入るほどの競合超獣のはずですが、さほどエースは苦戦せず。
闘いは結構あっさりサクサク進んで、最後だけ「最終回特別サービス」ということでメタリウム光線とギロチンショットの連続攻撃を披露して倒されました。
そして、エースは子供たちに向かって有名なこのメッセージを伝えます
やさしさを失わないでくれ
弱いものをいたわり
互いに助け合い
どこの国の人たちとも友だちになろうとする気持ちを失わないでくれ
たとえ、その気持ちが何百回裏切られようと
それがわたしの最後の願いだ
『ルパン三世』シリーズの銭形警部の声でお馴染みの声優・納谷悟朗による声から伝えられたこのセリフ。
事実、今回のストーリーで子どもたちは“2度”裏切られたわけです。
1度目は「弱いものをいたわれ」と諭していた張本人の北斗星司が「弱いもの」であるサイモン星人を目の前で射殺する。
2度目は「守るべきともだち」だと信じていたサイモン星人が実はヤプールだったこと。
幼少期の経験は、大人になってからの人格形成に決定的な影響を持つ。
だからこそ、エースは銭形のとっあんの声で子どもたちに「たとえ、その気持ちが何百回裏切られようと」という部分を強調したのではないかと。
とはいえ、何百回も裏切られても優しい気持ちを持ち続けられる人間ってなかなかいないでしょうね。
ネットの普及で匿名で言いたい放題言えるようになり、完全に心がすさんでしまった現代人には尚更難しいと思う。
それと「弱いもの」って表現すら今は問題があるような気もするし。
何もかもが重箱の隅をつつくような細かい規制だらけの世の中になっちまってますからね。
このメッセージに繋げるためのドラマ性のために闘い自体は「尺」が足りず淡泊になってしまったということか。
裏設定ではジャンボキングの威厳を落とさないためか、最後のギロチンショットはスペースQの応用である超強化版ということらしいけど。
とにかくやっぱり「残念な」最終回怪獣(超獣)に終わってしまいました。
あっさり射殺されたヤプールも含めてね。
これも『(初代)ウルトラマン』最終回のゼットン星人みたいなもんかな?
そして、最終回らしくM78星雲に向かい飛び立っていくエース。
それを見て手を振る子どもたち。
それを見つめるどこまでもリアクションの薄いTACのメンバーたち。
もうちょっと何か言おうよここは。
最後に竜隊長だけが「北斗・・・」とボソッとつぶやいただけ。
それにしても竜隊長はホント渋い。
しかしシブいがもっと驚くのはこの竜隊長の設定年齢及びそれを演じる瑳川哲朗の当時の年齢です。
なんと驚異の35歳!
今の感覚からすると50代か下手したら60代にしか見えない(笑)
髪型のせいなのか、当時は光化学スモッグの影響もあり加齢のスピードが早かったのかわからないですが...。
この手の話題はウルトラマンのムラマツキャップ(35歳)やウルトラセブンのキリヤマ隊長(38歳)にも言えることですが。
まだ当時は平均寿命も70に届かない時代で、40代で逝去しても「早い」と言われない時代だったらしいから今より20年くらい感覚が違うのかも。
また美川隊員を演じる西恵子も本当に美しい。
歴代ウルトラヒロインで最も美人と評価されるのも納得の美しさと可愛らしさ。
4話の「三億年超獣出現!」の回では私服のミニスカート姿も披露。
彼女のファンなら必見のストーリーになります。
西恵子夫妻が経営していた銀座の喫茶店「珈琲 蕃」は彼女のファンやウルトラシリーズ(特撮)ファンが良く来ていたそうで。
放送から40年以上経過しても美しさは全く変わらず、ファンと一緒に写真撮影もしてくれるそうで。
しかし、その「珈琲 蕃」は昨年の大みそかで閉店してしまったそうで大変残念な話ですね。
銀座で店舗を維持するだけでも大変でしょうし、今から思えば結果的にコロナ問題の前に撤退できたのは賢明だったのかもしれませんが。
それはともかく、『ウルトラマンA』の最終回はこんな感じで終わったわけです。
すべては例のメッセージを伝えることに狙いがあったストーリーでしょう。
最終回の比較としてはどうなのかな。
一番心に響いた最終回は・・・個人的にはタロウかな?
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